障害者が転職や独立を考えるなら、就労移行支援・A型・B型を安易に選ぶべきではない

目次
  1. 厚生労働省が定義している時点で、A型・B型は「一般就労が難しい人向け」である
  2. 就労移行支援も、キャリア形成の場というより「制度内訓練」で終わる危険がある
  3. atGPが紹介する数字を見ても、B型は「生活を作る制度」ではなく「低工賃構造」に近い
  4. 制度には「利用者を囲い込むインセンティブ」がある
  5. 「支援されること」が、そのまま「前に進むこと」ではない
  6. 「福祉ビジネス」という言葉を使いたくなる気持ちは分かる。だが本当に批判すべきは“構造”だ
  7. 転職や独立を考える障害者が先にやるべきこと
  8. 1. 一般就労ルートを切らない
  9. 2. スキルを“制度内評価”ではなく“市場評価”で測る
  10. 3. 独立志向なら「支援」より「実績」を優先する
  11. 4. 事業所を見るなら「優しいか」より「出口があるか」
  12. まとめ

障害者の働き方を考える時、よく勧められるのが就労移行支援や就労継続支援A型・B型です。
ですが、転職したい人、一般就労でキャリアを作りたい人、将来的に独立したい人にとって、このルートが本当に最適かといえば、そこはかなり慎重に考えるべきです。

厚生労働省の整理でも、就労移行支援は「一般企業に雇用されることが可能と見込まれる人」向け、A型・B型は「一般企業での雇用が困難な人」向けの制度です。
つまり、制度そのものが最初から“一般就労に乗る人”と“福祉的就労に留まる人”を分ける構造になっています。
厚生労働省:障害者の就労支援対策の状況

もちろん、体調や障害特性によっては、これらの制度が必要な人もいます。
しかし、もしあなたが「もっと稼ぎたい」「転職したい」「スキルをつけて外で勝負したい」「独立も視野に入れている」のであれば、就労移行支援やA型・B型を安易に選ぶことは、人生の選択肢を狭める可能性があります。

この記事では、制度批判を感情論で終わらせず、構造の問題として整理します。


本文

厚生労働省が定義している時点で、A型・B型は「一般就労が難しい人向け」である

まず押さえておきたいのは、制度の建て付けです。

厚生労働省は、就労系障害福祉サービスを次のように整理しています。

  • 就労移行支援
    一般企業に雇用されることが可能と見込まれる人に、就労に必要な知識・能力向上の訓練を行う
  • 就労継続支援A型
    一般企業での雇用は困難だが、雇用契約に基づく就労は可能な人向け
  • 就労継続支援B型
    一般企業での雇用も、雇用契約に基づく就労も難しい人向け
    厚生労働省:障害者の就労支援対策の状況

つまり、A型・B型は最初から「一般就労に乗る前提ではない」制度です。
ここが重要です。

もし本人が本気で転職やキャリア形成、さらには独立まで考えているなら、A型・B型に入ること自体が、
「自分は一般就労ではなく福祉的就労の側に行く」
という選択になりやすいのです。


就労移行支援も、キャリア形成の場というより「制度内訓練」で終わる危険がある

就労移行支援はA型・B型より一般就労に近い制度です。
実際、厚生労働省でも、一般企業への就職を目指す人向けの訓練とされています。

また、atGPの解説でも、就労移行支援は履歴書、面接、PCスキル、職場体験など、就職に向けた訓練が中心で、利用期間は原則2年以内と整理されています。

一見すると良さそうです。
ただ問題は、ここでも本人の時間が「支援サービスの利用者」という立場のまま消費されやすいことです。

本来、転職や独立を目指す人に必要なのは、

  • 実務経験
  • 収入に直結するスキル
  • 市場の中で評価される実績
  • 営業力
  • 自分の強みの言語化

です。

ところが、就労移行支援で積み上がるものは、事業所によっては
“就職支援を受けた経験”で止まることがあります。

制度内では頑張っていても、市場に出た瞬間に通用する武器がない。
これでは、キャリアの再建ではなく、ただ時間を使っただけになりかねません。


atGPが紹介する数字を見ても、B型は「生活を作る制度」ではなく「低工賃構造」に近い

atGPの記事では、就労継続支援A型は雇用契約があり、B型は雇用契約がないと説明されています。
さらに同記事では、2019年度実績として、A型の平均月額賃金を78,950円、B型の平均工賃を16,369円と紹介しています。
(同記事は厚生労働省統計を踏まえた解説です)

ここで現実を見た方がいいです。

月1万円台の工賃では、生活は作れません。
年100万円前後どころか、それ以下の水準に留まりやすい。
これでは自立も転職準備も独立資金づくりも厳しい。

もちろんB型の役割は「高収入を作ること」ではなく、就労機会や居場所の提供にあります。
ですが、転職や独立を目指す人にとっては、その制度目的そのものがズレています。

“今は配慮を受けながら少し働ければいい”人には合っても、
“将来の収入とキャリアを作りたい”人には、必ずしも合わない。
ここを混同してはいけません。


制度には「利用者を囲い込むインセンティブ」がある

就労移行支援の儲かるからくり・仕組み
という記事では、就労移行支援の報酬が、利用人数・利用日数・定着就職者割合などで構成されると解説されています。

要するに、事業所側には少なくとも構造上、

  • 利用者を集めたい
  • 通所日数を確保したい
  • 途中で辞められたくない
  • 就職実績を作りたい

という動機が生まれます。

もちろん、これは制度としての設計であって、すべての事業所が悪質だという意味ではありません。
実際に同記事も、多くの事業所は健全で、悪質な施設は一部と明記しています。
また、令和元年度に指定取消・効力停止処分を受けた就労移行支援事業所は、記事内では約0.2%と紹介されています。
guide-ss.com

ただし重要なのは、
「善意の支援」と「事業所の経営都合」がぶつかりうる構造がある
という点です。

だからこそ、障害者本人が転職や独立を考えるなら、
「支援してくれる場所か」ではなく、
「自分の市場価値を本当に上げる場所か」
で見なければなりません。


「支援されること」が、そのまま「前に進むこと」ではない

ここを誤解すると危険です。

支援制度は、困っている人にとって必要です。
しかし、支援を受けること自体が目的化すると、人は簡単に止まります。

  • 今日も通えた
  • 今日も作業した
  • 今日も支援員と話した
  • 今日も制度の中では頑張った

これらは全部、「行動している感」はあります。
でも、その先に

  • 一般就労で通用する職歴
  • 転職市場で戦えるスキル
  • 独立に必要な営業力や顧客獲得力
  • 自分の名前で稼ぐ力

が積み上がっていなければ、キャリアは進んでいません。

障害者に必要なのは、保護の中で長く留まることではなく、
必要な配慮を受けながらも、できるだけ市場の側に近づくことです。


「福祉ビジネス」という言葉を使いたくなる気持ちは分かる。だが本当に批判すべきは“構造”だ

就労移行支援やA型・B型を見ていると、
「これは福祉ビジネスではないか」
と言いたくなる人がいるのは理解できます。

実際、guide-ss.com でも、悪質な事業所の特徴として、

  • 勧誘がしつこい
  • 辞めさせてくれない
  • 休みがちな利用者に厳しい
  • 障害理解が乏しい
  • 行政処分歴がある

といった点が挙げられています。

ただ、ここで記事を感情論だけにすると弱くなります。
本当に見るべきは、
制度と事業運営の仕組みが、利用者本位より“在籍・通所・実績”を優先しやすい構造になっていないか
です。

つまり、批判すべきは個人の贅沢や噂話ではなく、
「利用者の人生設計」と「事業所の収益構造」がズレる可能性がある制度設計そのもの
です。

この視点で書いた方が、記事としても強いです。


転職や独立を考える障害者が先にやるべきこと

もしあなたが本気で人生を立て直したいなら、先に考えるべきは次のことです。

1. 一般就労ルートを切らない

最初からA型・B型に入ると、「福祉的就労に適した人」として経歴が固定されやすい。
まずは障害者雇用、在宅ワーク、短時間雇用、職種転換など、一般就労ルートを広く見るべきです。

2. スキルを“制度内評価”ではなく“市場評価”で測る

PC、ライティング、デザイン、事務、動画編集、SNS運用、営業補助。
何でもいいですが、
外でお金になるスキルかどうか
で見なければ意味がありません。

3. 独立志向なら「支援」より「実績」を優先する

独立に必要なのは、作業所経験ではなく、

  • 納品実績
  • 顧客対応
  • 小さくても売上
  • 仕事の再現性 です。

4. 事業所を見るなら「優しいか」より「出口があるか」

本当に見るべきなのは、

  • 就職先の実態
  • 定着率
  • 利用者の卒業後の進路
  • 具体的なスキル習得内容
  • 見学時の空気
  • しつこい勧誘の有無 です。

まとめ

就労移行支援やA型・B型は、必要な人にとっては意味のある制度です。
だから制度そのものを乱暴に全否定するのは正確ではありません。

ただし、転職したい人、一般就労で収入を上げたい人、将来的に独立したい人にとっては、安易に入るべき制度でもありません。

厚生労働省の制度設計を見ても、
A型・B型は「一般就労が難しい人向け」です。
厚生労働省

そして、guide-ss.com が指摘するように、事業所には利用者確保や通所維持のインセンティブが働きます。
さらに、atGPの解説 が示す通り、特にB型は低工賃構造で、生活や資産形成、独立準備には向きません。

だからこそ言いたい。
障害者だからといって、最初から福祉の中に収まる前提で進路を決めるべきではない。
支援を受けるにしても、目的は“所属”ではなく“前進”であるべきです。

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金儲けの悪質実態!? 就労移行支援の儲かるからくりと仕組みの闇就労移行支援事業所の中には、金儲けを目的とした悪質な施設も一部あります。 令和元年度には約0.2%の就労移行支援事業所(500施設に1施設)が、指定取消・効力停止の処分を受けています(※1)。 ※1:就労支援ガイド

この記事を書いた人

Ise Masaki

デザイナー

  • Webデザイナー

経営課題の可視化+デザイン制作。全国オンライン専門。

ステータス
現在対応可能
希望時給
3,000円~5,000円
活動エリア
その他

「相談したいけど、何から話せばいいかわからない。」 そう感じたまま、経営の課題を誰にも話せずにいませんか? 私はそんな経営者の"整理のパートナー"です。 私にできること ①経営課題の可視化・整理(経営相談) 「なんとなく売上が伸びない」「忙しいのに利益が出ない」──そんな言語化しにくい悩みを、図解とデータで整理します。問題の場所・原因・優先順位を一緒に明確にする、それが私の仕事の出発点です。 ②デザイン制作(実行支援) 課題が見えたら、次は「動かす」フェーズ。バナー広告・SNS画像・名刺・パンフレット・ショート動画・サムネイル・アイコン・ヘッダーなど、中小企業の販促・採用・ブランディングに必要なデザインを制作します。 → 相談だけ・制作だけ、どちらのご依頼も歓迎します。 私について 複数の事業部でプロジェクト推進・課題解決を経験。その後、身体障害を持ちながら独立し、小さなデザイン事務所の一人社長として活動しています。 移動に制約があるため、すべてのやり取りをオンラインで完結できる体制を整えてきました。Zoom・Google Meet・チャットツールを駆使し、北海道から沖縄まで全国の経営者・個人事業主をサポートしています。 「制約の中で最大の成果を出す」──これは障害を持つ私が日々実践してきたことであり、中小企業の経営改善と同じ考え方だと思っています。だからこそ、コスト・人手・時間が限られた環境でもリアルな提案ができます。 こんな方にご連絡ください 経営課題はあるが、何から手をつければいいかわからない デザインと経営の相談を別々にするのが面倒 地方在住で良質な相談相手が見つからない コストを抑えつつ、本質的な改善をしたい 正直に、気を使わず話せる相手を探している 対応可能なサービス一覧 Webサイト制作:ホームページ制作、LP制作 経営相談:課題可視化・図解・優先順位整理・戦略立案サポート バナー制作:広告バナー・SNS投稿画像・ヘッダー・アイコン 動画制作: ショート動画(SNS・採用・商品紹介) 印刷物:名刺・パンフレット・チラシ・会社案内 記事:金融記事、人事記事 その他:フロー図・組織図・提案資料のビジュアル化 AI使用可:GensparkをはじめとするAIツールの使用経験があります。 対応エリア・連絡方法 オンライン: 全国どこでも対応(Zoom / Google Meet / チャット) 対面: 交通費をご負担いただける場合、全国対応可能 📩 まずはお気軽にメッセージをお送りください。 「どんな相談ができますか?」という問い合わせだけでも大歓迎です。初回は状況をお聞きするだけのご相談も承ります。

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